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第1話~二人の人間の元へ届いた一つの任務~
ここはとある組織。その組織は任務を請け負えばその任務を遂行するために別の世界へと転移し。その世界にてしばらくの間滞在をする。…そして、任務が終わると同時に、元の世界へと戻ってくるのだ。
そんな組織に所属する焦げ茶色の長髪を一つ結びにした女性…カセリナは。長とされる人物から一つの任務を任されていた。
「今度はふしぎな生き物達が住まう世界での任務、ですか。その世界の生き物達が反映できるよう、復興せよ、と…?」
その任務というのは。長にあたる人物曰くサイエンスクリーチャーなる生き物達の住んでいた、サイエンタワールドの復興をすること。しかし、その世界はこの組織の前身である組織に突如として送り込まれた生き物…サイエンスクリーチャー達が生きていた場所のはずである。…カセリナは、そう聞いていた。
「御言葉を返すようですが、その世界はこの組織の前身たる組織に突如として送り込まれたサイエンスクリーチャー達が住んでいた場所のはず…。それに、ディナスさんからは…その世界は平和であったと聞いていたはずですよ?」
そう。カセリナはディナスからサイエンタワールドの事について聞いていた。黒龍、というサイエンスクリーチャー達の飼い主の事は守れなかった…彼はいわれの無い罪で死刑にされてしまったにせよ、カセリナの所属する組織の前身と対立していたころの、ディナスがもともと所属していた組織は。この世界線ではサイエンタワールドにまでは手を出していなかった…という事を。
長にあたる人物に問いを投げかけるカセリナ。…そのカセリナに。長から"別の世界線のサイエンタワールドを復興してほしい"との言葉が発せられる。
別の世界線。…一体、どういうことなのか。疑問符を浮かべるカセリナ。そのまま彼女は、紺色のショートヘアの実年齢より若く見られる見た目の少年…クドルスとともに転送装置の前に立つ。
「ディナスさんがMIAになった事件があってからという物の、転送装置は改良されましたから。…今度は絶対大丈夫のはずですよ。」
そう転送装置の事を説明するのはクドルス。…以前、ディナスが任務に向かった時に異変が起き。任務先とは別の世界に飛ばされたというのだ。…その後、無事にディナスが戻ってきてその間の話をしてくれたのだが。
かつての事を思い返しつつ、転送装置を使い目的地へと向かうカセリナとクドルス。
――別の世界のサイエンタワールドを復興してほしい。…そう、長は言っていたけど。一体何が起こっていたというのか。
まばゆい光に包まれるカセリナの視界。少しして晴れた時。…その世界の有様に、カセリナは言葉を失う。…かつて物語が改変されたとされる世界と同等か、それよりも酷く荒れ果ててしまっており。…目に映る木々は山火事にあった後であるかの如く焦げてしまっており。そのほとんどが炭化してしまっている。
「…これは一体、どういう事…!?…これじゃあ、僕がかつて救ったあの世界とほとんど同じじゃ…!」
唖然とするカセリナとクドルス。周りを見てもどこもかしこも荒れ果てている。
二人が唖然としていると。黒い口ひげを蓄えた一人の男が、何処からともなく現れる。
『…ここに人間が来た、という事は…このサイエンタワールドを襲撃しに来た、というのか?…帰られよ。これ以上、サイエンスクリーチャーに憎しみ、そして恨みを残すな。…サイエンスクリーチャー達は今、恨み、そして憎しみに…身を焦がし続けている。…この周辺は、行くところの無いサイエンスクリーチャー達の魂がさまよい、その恨みを…憎しみを蓄え続けておる。…それもこれも、お主ら人間が…サイエンスクリーチャーに対して"マイクロアニマルの世界を襲撃し、マイクロアニマルたちに対してひどい目に合わせた"といういわれの無い罪をかぶせ、好き放題に襲撃し殺していったせいだ。…人間謎、信じてはおれん。…サイエンスクリーチャー達を襲うというならば此処から出て行け。…このような場所に来る者達は、そのような考えを持つものしかおらん。』
どこか恨めし気にクドルスとカセリナ、二人を見る男。…その男の言葉の中にあったマイクロアニマル、という単語。…それを聞いてカセリナは反応を見せる。…ディナスの話の中に、サイエンスクリーチャー達を牢獄へと叩きこんだ犯人としてマイクロアニマルの名が挙げられていたからだ。
男に対し、クドルスは弁解するかのような様子で言葉を発する。
「いえ、僕達は別の世界からこの世界を復興するためにやってきたんです。…この世界がなぜ滅ぼされたかはもうすでに他から聞いています。…ですから、話を聞いて…」
『フン、お主らの話なんぞ聞いていられるか。…私は此処からは退かんぞ。…最後の希望なんだ。』
そう言い残し、何処かへと消えゆく往年の男性。…話を聞く様子の無いその往年の男性に頭を悩ませるカセリナとクドルス。
男の言葉から察するに、マイクロアニマルによって滅ぼされた、としか考えようのないサイエンタワールド。…そのサイエンタワールドを復興するための行動は。…今、始まったばかりである。
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