第一章 トルメル建国記念祭

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 だが、その中で、一人の男がぼくのところへ駆けつけて来た。その後ろには、兵がどんどんと現れては、倒れ、現れては、倒れている。  壮齢のその男は、白一色の鎧を着ていて、白い髪のいかつい顔だった。どことなく、あのライラックに似ていた。   「その服装! 君が、勇者だな! この国はもう駄目だ! すぐに南へ逃げろ!!」 「え?? 一体? 何が起きているんですか??」 「白い腐敗だよ」 「白い腐敗??」 「触れると、腐って白骨化するんだ!! さあ、逃げろ!!」 「えええ!!」  ぼくは、城にいるコーリアのことを思い出した。 「コーリアさんは? まだ、トルメル城にいるんだ!」 「もう助からん!!」 「……」  ぼくは、唖然とした。  勢い余って、ぼくはその男の腕を握り捻り上げた。  ぼくはあまり力を入れていないというのに、その男の腕がミシミシと悲鳴を上げていた。 「その鎧と剣は?! どこにあるんだ??」 「ムッ! この信じられない腕力!! そうか、君は勇者だったな……。なら、トルメル城の祭壇に行け!! そこには、特別な鎧と剣と盾がある!! だが、そこは白い腐敗が覆っているぞ!!」 「わかった!!」  ぼくはトルメル城へと走り出した。  ぼくは元来た城下町の道を走りに走った!   おおよそ自分に出せる限りの全速力で!   コーリア!!  頼むから無事でいてくれよ!!  ぼくは心の中で叫び続けた!!
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