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だが、その中で、一人の男がぼくのところへ駆けつけて来た。その後ろには、兵がどんどんと現れては、倒れ、現れては、倒れている。
壮齢のその男は、白一色の鎧を着ていて、白い髪のいかつい顔だった。どことなく、あのライラックに似ていた。
「その服装! 君が、勇者だな! この国はもう駄目だ! すぐに南へ逃げろ!!」
「え?? 一体? 何が起きているんですか??」
「白い腐敗だよ」
「白い腐敗??」
「触れると、腐って白骨化するんだ!! さあ、逃げろ!!」
「えええ!!」
ぼくは、城にいるコーリアのことを思い出した。
「コーリアさんは? まだ、トルメル城にいるんだ!」
「もう助からん!!」
「……」
ぼくは、唖然とした。
勢い余って、ぼくはその男の腕を握り捻り上げた。
ぼくはあまり力を入れていないというのに、その男の腕がミシミシと悲鳴を上げていた。
「その鎧と剣は?! どこにあるんだ??」
「ムッ! この信じられない腕力!! そうか、君は勇者だったな……。なら、トルメル城の祭壇に行け!! そこには、特別な鎧と剣と盾がある!! だが、そこは白い腐敗が覆っているぞ!!」
「わかった!!」
ぼくはトルメル城へと走り出した。
ぼくは元来た城下町の道を走りに走った!
おおよそ自分に出せる限りの全速力で!
コーリア!!
頼むから無事でいてくれよ!!
ぼくは心の中で叫び続けた!!
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