もう一つのエクスカリバー

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 ――――  サンポアスティ国 女王の間 別名ライオン宮  床の水面に水流が滞り、天井からの雨が止んだ。蔓で覆われている外廊下へと続く大窓ガラスの外には、白い煙が充満していた。  女王の御前には、御膝元の家来や重臣以外に、鬼窪王の姿があった。 「アスティ女王ー。なんかさあ、北の館からの魔族の襲撃がこっちの方まで酷いんだって? こんなに南なのになあー」  鬼窪王は案外、今でも楽観視していた。  傍らのソーニャ女王も落ち着いている。 「さよう。ここはもう駄目であろうな……ラピス城の鬼窪王よ……そなたの方は皆、無事だったのか?」 「……」 「そうか……そうであろうなあ……」  アスティ女王は項垂れた。   「陛下……これは、眉唾物なのですが……お耳に入れたく存じます。以前に北のトルメル城に勇者が現れたと申しましたが、何やらトルメル城から向かった。その勇者が……き……北の館を壊滅させたとか……」 「へ……陛下! ただの噂かも知れませぬ! ……どうか。こ、ここは慎重に……」   アスティ女王はこのところ閉じ気味だった目を見開いた。 「うへええええ、やるー」  「それは本当か。でも、どなただろう? その勇者というのは?」  鬼窪王とソーニャも、仰天している。    別の重臣がいった。 「それでも、行ってみる価値は十分にあるな。その勇者の名は何と申すのだったか?」 「はっ! 確か……秋野 憲一という異世界人です……」      
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