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――――
「お前。もう少しで、死んでいるところだったぞ。そしたら、この私でも生き返らせられないのだからな……」
「ああ、ありがとう。って、あれれ? 君は??」
気がつくと誰かが、ぼくの顔を覗いていた。
どこかで、見た顔なんだけど、覚えていない。記憶に霞がかかっていて、さっぱり名前も、どこで出会ったのかもさえ、わからなかった。
見たところ、聖女のような宗教服をしている女の子だった。でも、場違いな小さ目の箒を片手に持っている。
魔女??
ぼくはひどい傷を負って倒れている状態だった。
どうやら、気を失っていたようだ。
だとしたらここは……どこだ?
確か、北の館をぼく一人で急襲した後に……うん??
「それにしても、よくやるなあ……こんなに派手に……木っ端微塵じゃないか」
「ああ……でも、あまり覚えていないんだよ」
辺りには、獣の死骸が山となって散乱している。激しく破壊された館は、当然、悪魔の北の館だ。まるで、強い大型台風が通り過ぎたようだった。
「それにしても、破壊的だなあ。どうやったら、こんなに壊せるんだ? 白い煙も消えてしまったし……」
聖女の恰好の女の子が半ば呆れて言った。
あれほど脅威だったはずの白煙は、今では館と一緒に消え失せて、変わりに黒煙が上がっていた。ぼくの旅の途中で、閃いた技でズタズタになった北の館。
ぼくがトルメル城から北へ向かって行く途中で、見つけたんだ。
でも、そこには……。
「祭壇のようなところの奥の方には、大きな蝿しかいなかったんだ……」
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