2. 忘年会

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2. 忘年会

11月末、少し早めの教職員が揃っての忘年会が行われる。横浜第二高校、総勢80人余り、それでも全員ではない、保護者の対応などで来れない人もいる。 横浜駅近くの居酒屋を借り切っての飲み会は恒例だ。 「まだ今年も残っていますが、まずは慰労会ですね。今年も無事に終わろうとしており──」 毎年同じ口上を校長が述べる、長くなることが判っている副校長がほどほどなところで切り上げてしまい、乾杯すると会が始まった。 「林田先生―っ、飲んでますー!?」 ほどなくして声をかけてきたのは、体育科の吉野大貴(よしの・たいき)先生だ。教師になって3年目、イケメンのスポーツ万能の教師は、生徒の人気も高い若手のホープだけれど。 「はい、ほどほどに」 にこりと対応はしたけれど、この人は苦手──距離感が近いのだ。吉野先生からすれば十分おばちゃんであろう私にすら生徒に対するものと変わらない、ううんむしろ親しい友人のよう。今も遠い席に座っていたのにわざわざやってきてだけど、別に私に特別な感情があるわけではない。現に元居た場所も周囲は若い先生方に囲まれた場所、あ、当然女性ばかりである。ご本人がかき集めたわけではないけれど、若手のホープに若い女性は集まるようだ。 「まだ飲み足りないっすね! さあ、どんどん、どんどん!」 持ってきた瓶ビールを私のグラスに傾けて言うけれど、まだ半分も空いていない。
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