2. 忘年会

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「ええ、いいよぉ、楽しく飲ませてよぉ」 お酒はとびきり弱いわけではけれど、すごく強くもない……どんどん飲まされても。 「そう言わずに。酔った林田先生を見たいです!」 そんなことを言ってすり寄ってくる、こういうとこが苦手だけど、顔には出さぬようにして。 「もう、私、酒癖、悪いよー?」 って大抵寝ちゃうだけだけど、けん制で言えば吉野先生は私の足まで撫でてくる、ちょっと待てぃ! 「吉野先生の方が酔ってるじゃないですか!」 手を叩き小さな声で怒鳴るけれど、吉野先生は笑顔だ。 「まだ酔ってないので安心してください、介抱はお任せです。林田先生のお宅って近かったですよね」 確かに十分徒歩圏のマンションですけど。 「そもそも無理に飲む気はないので──」 強気に発言しようとすると、 「その辺にしておけ、吉野先生」 吉野先生に割り込まれ追いやられていた学年主任の大久保柊吾(おおくぼ・しゅうご)先生が声を上げる。 特に決まりがあるわけではないけれど、クラス担任は割と学年で集まっている。もちろん仲がいい先生同士で集まるほうが多いけれど。 「大学時代の合コンじゃないんだ、ノリで飲ませるなよ。ほら、あっちのメンバーがこっちを見てるぞ、戻ってやれ」 元々吉野先生が座っていたほうを指さし言えば、さされた女性陣も気づき吉野先生の名を呼び手招きする。吉野先生は小さな舌打ちをしつつも立ち上がる。
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