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「ええ、いいよぉ、楽しく飲ませてよぉ」
お酒はとびきり弱いわけではけれど、すごく強くもない……どんどん飲まされても。
「そう言わずに。酔った林田先生を見たいです!」
そんなことを言ってすり寄ってくる、こういうとこが苦手だけど、顔には出さぬようにして。
「もう、私、酒癖、悪いよー?」
って大抵寝ちゃうだけだけど、けん制で言えば吉野先生は私の足まで撫でてくる、ちょっと待てぃ!
「吉野先生の方が酔ってるじゃないですか!」
手を叩き小さな声で怒鳴るけれど、吉野先生は笑顔だ。
「まだ酔ってないので安心してください、介抱はお任せです。林田先生のお宅って近かったですよね」
確かに十分徒歩圏のマンションですけど。
「そもそも無理に飲む気はないので──」
強気に発言しようとすると、
「その辺にしておけ、吉野先生」
吉野先生に割り込まれ追いやられていた学年主任の大久保柊吾先生が声を上げる。
特に決まりがあるわけではないけれど、クラス担任は割と学年で集まっている。もちろん仲がいい先生同士で集まるほうが多いけれど。
「大学時代の合コンじゃないんだ、ノリで飲ませるなよ。ほら、あっちのメンバーがこっちを見てるぞ、戻ってやれ」
元々吉野先生が座っていたほうを指さし言えば、さされた女性陣も気づき吉野先生の名を呼び手招きする。吉野先生は小さな舌打ちをしつつも立ち上がる。
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