2. 忘年会

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「林田先生も、あとであっち来てくださいね」 「えー、若い者同士、仲良くやってなよー」 吉野先生の前後の代が揃っている、話が合わないとまで言わないけど、やはり三十路女が紛れ込まれる雰囲気じゃないよね。 「なに言ってんすか。林田先生は若いし美人だし仕事できるし、俺、好きっすよ」 すごい軽い『好き』に乾いた笑いしかでなかった、まさに「柿の種、好き」くらいの感覚だ。 私の表情など気にせず、本人はさわやかと思っているだろうけど私からすればいやらしい笑みを浮かべ、吉野先生がようやく戻ってくれてほっとする。 「林田先生もモテますね」 「やめてくださいっ、吉野先生の誰でもいい好意なんか嬉しくないです」 はっきり言えば、大久保先生は笑う。吉野先生の性癖なんか知っているんだろう。 「吉野先生も困ったものですね」 まさにその言葉に尽きる、大久保先生はため息交じりに言った。 「そうですね、まああの軽さが人気の秘訣かもしれませんけど」 授業自体は実際には男子を見ているのは、学校側の配慮だろうか。部活動は乞われて女子のバスケ部の顧問をしているのは人気の高さの現われだろう。まあ教えてもらう子も楽しくできるのが一番なんだけど。校内を歩く姿を見る時は、いつも数人の女生徒が取り囲んでいるし、そういうのはいかがなものか。
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