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沈丁花(じんちょうげ)】 春に香りのよい花を咲かせる花木。 十字型の小さな花が塊になって、枝先に咲く。 夏の梔子(くちなし)、秋の金木犀(きんもくせい)と並んで『三大香木(さんだいこうぼく)』と称される。 その中でも沈丁花は、最も遠くにまで香りが届くといわれている。 まれに、その沈丁花に似たアザを体にもつ娘が現れる。 沈丁花のアザから漂う魅惑的な甘い香りは、『鬼』がたいそう好む香りでもあった。 鬼は、香りに誘われてやってくる。 鬼に捕まれば最後、生き血を吸われその娘は死に至る。 そんな災いを宿したようなアザをもつ娘がまた1人――。 不遇な人生を歩んでいた。
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