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 集団下校は次の日も、また次の日も続いた。真夏日が減り、北風がやってきて長袖を着たり、上着を着る人が増えて来た。  学校では突然ブームになった怪人キラードSの話題で持ちきりだった。心霊ユーチューバーだ。  朝の全校集会を終えて教室に戻るときに、携帯の持ち込みをして没収された生徒が言っていた。「怪人キラードSなら集団下校は馬鹿らしいって言うよ」と。  一限目を終えた後にも、何人かの女の子に誘われた。 「怪人キラードSの挑戦状って知ってる?」  私が首を振るとその子たちは標的をすみちゃんに変えた。すみちゃんの食いつきはすごかった。一体なんだろう。そう思いつつ、あんなにクラスの大勢に取り囲まれるすみちゃんを見ているとちょっと羨ましくもあった。 「くだらね」  レインは私にあいつらにかまうなと言いたいんだ。 「ねえ、レインは知ってるの? 挑戦状って?」 「最近出回ってるユーチューバーの煽り文句だろう? 中身はただの小学生向けなぞなぞだ」 「なぞなぞで、こんなに中学生が盛り上がらないでしょ?」  レインは私を軽蔑するような目で見てくる。 「たかが炎上系ユーチューバーじゃねえか」  そう言って、レインはこっそりスマホを見せてくれた。 「校則違反じゃん」 「たまには俺も過ちを犯すようだ……」 「かっこよく言っても意味ないから。ここじゃ目立つから、屋上行こう」  屋上は私とレインの貸し切り。電波良好。それでは、ユーチューブを見てみようか。  レインが見せてくれた心霊ユーチューバー「怪人キラードS」という二人組ユニットだ。コロナだからか、画面に二人が映ってはいるものの、心霊スポットに行くのは毎回一人で、もう一人はスタジオ(家)で生配信を見守るというもの。現場に行くのが「エース」で、実況という形でスタジオで解説するのが「ドキラ」。どちらも仮面をしていて怖がっている顔が全然見えない。これの何が面白いんだろう。ちなみに、エースは黒い仮面。ドキラは白い仮面。これだと、配信中に彼らに遭遇した人が驚いてしまいそうだ。 「ねえ、どうして携帯持ってきたの?」  私は動画なんかより、レインが校則を破ったことを心配する。だって、レインは自分の不利益になるようなことはしないから。罰せられる覚悟で持ってきたの?  「親がこんなご時世だから持って行けってな」 「なるほどね。校則も臨機応変に変えたらいいのにね」 「まあ、俺みたいな不真面目な奴が持ってたら、遊んでると思われるんだろうな」 「そんなことないでしょ?」 「どうだかなー」  そのときは先生に訴えればいいだけなのに。 「それで、さっきのユーチューバーの件だけど、掲示板で話題でな」  レインは掲示板のスレッドの無数の書きこみを見せてくれた。 「なになに? 東京某所に怪人キラードS現る。なにこれ」
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