巣ごもり令嬢の婚約

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 正式な婚約もまだなのに、やってしまった。あんなことを…夜会の場で、衆目に晒してしまった。 「アル…」  夜会のあと、フラフィーは侯爵邸には戻らず、王宮に連れて来られた。  サロンの控え室で、アルとふたり、待たされているのだが、さっきから全然こちらを見てくれない。  怒ってる…相当怒ってる…  まさか幻滅された?女性なのにはしたないと。  つい出来心とはいえ、やってしまったのだ。後悔してももう遅い。  どうしよう…フラフィーは眉を下げ、泣きそうな顔になって、膝の上に置かれているアルの手をとった。 「フィーは…」 「はい」 「距離が近いというか…」  アルの耳が赤い。 「慣れてるの?その、こういうこと」  へっ?! 「慣れてません!」  こうゆうことも、そういうことも、全て書物の中だけで空想妄想上のことです! 「ハハ…顔が真っ赤だよ」 「アルだって…」  それでも手は繋いだまま離さないフラフィーだ。 「…かわいい」  アルの顔が近づいてくる。
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