〆7 隠された系譜

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シエスタ家が目をつけているカルトール家は、イヴナという天才脳神経学者を筆頭にその娘のテニエル、娘婿のジョンとその輝かしい系譜は脈々と引き継がれていた。 『エニグマ』という奇跡の物質を手にした『帝都システム』の根幹を成すのは、彼らの功績と言っても過言ではない。 個人の培った脳そのものを新しい身体に移し替えるというイヴナが開発した技術の成功によって、帝都人は不老不死をほぼ手に入れた事になる。 『エニグマ』は、脳を作り変えることはできてもその人格そのものを保持する事は不可能と言われてきた。 実際今もそれは出来ないのだが、新たな器(身体)に入れ替える事によって寿命は限界を超えた。 しかし、その成功によって様々な社会問題が生じており、法の整備や技術水準の保持などに『帝都』は長い歳月をかけて取り組んできたのだが…。 その後カルトール家の者以外の手による脳の移植は、何らかの副反応を必ず生じる事がわかってきている。 同じ方法でいくら行っても、何故カルトール達だけが完全に成功するのかはわからないまま、独占状態となっている。 シエスタ家が『帝都システム』の治安の為に、彼らを見張るのは当然の仕事となった。 そして今、その系譜の最も脅威としてマークされている人物がローランジェル・カルトールだった。
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