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オータムコンサートの帰り道、私たちはまた妖精さんに会いに行ったんだ。
稲穂はそれぞれが膨らんで、程よく垂れている。
「今年も豊作だね!」
「よかったよかった!」
そう、かわいい声がする。
よく見ると、それぞれの稲穂の近くに、妖精さんが何人かいるのが見える。
ひょっとしたらだけど、この子達って、稲の妖精なのかな?
「妖精さんたち!
ありがとう!
私たちのコンサート、うまく行ったよ!」
そう言うと、
「よかったよかった!」
と、またかわいい声が優しく響いた。
「僕たちも楽しかったよ!」
「お陰で、今年は美味しいお米がたくさん収穫できそうだよ!」
なんて言う声も聞こえる。
月明かりの下で、黄金色の稲穂が優しく風になびいて、さらさらと音色を奏でると、妖精さん達はそれに添えるように、優しくバイオリンを奏でた。
透き通るその音色は、どこまでも心に響いていた。
私たちが誰からともなく鼻歌でハミングすると、妖精さんたちとの見事なセッションになったんだ。
こちらも、とても心に残る演奏だった。
妖精さん、本当にありがとう。
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