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秋の音色
さっきまでの音の羅列が、顧問であるミヤタがいつもタクト代わりに使っている、フルートの掃除棒の動きが止まると同時に止んだ。
ブラスバンドのメンバー全員が、ミヤタの口から何が飛び出るのかを、固唾を呑んで待っている。
ミヤタは、いつもスーツを着崩していて、年配の先生方からは目をつけられている。
いつもは優しいのだけど、音楽になるととても厳しい。
練習中に楽譜ばかりを見ていて指揮をみていないと、無言で譜面台を倒しに来る。
そうなると、大切な楽器が傷つく可能性があるので、みんな必死で守る。ただ、新入部員を迎える春を過ぎると、咄嗟に楽器を守ることに、みんな慣れてくる。
ミヤタは、それが気にくわないのか、まるでステルス航空爆撃機のように、静かに近づいてくる。
だから、みんな目が離せないのだ。
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