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カヨと2人で帰る道すがら、私からなんとなく漏れ出た鼻歌は、オータムコンサートにおいて、私にとって暫定一位の難曲だ。
それに合わせて、カヨが鼻歌で自分のパート部分を奏でると、なんだかとても心地よいものになった。
音のくぐもり方が、ファゴットを本当に演奏しているかのようだ。
この辺りは、控え目に言っても田舎だ。
学校は田んぼの真ん中に建っているから、アスファルトで舗装されている左右の道は、例外なく田んぼだ。
この風景が良いと言う教職員もいるのだけど、これが当たり前の私には、何がいいのがさっぱりわからない。
せめてコンビニくらいあっても良いのに。それなら、一緒にあんまんとか買って、二人で食べられるのにね。
そんなことを考えつつ、夜空に浮かぶまん丸の月を見ながら、鼻歌を続けていたのだけど……。
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