秋の音色

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 なんか、私たちの鼻歌に混ざって、もうひとつ鼻歌が聴こえてきた。 なんだかバイオリンの音に聴こえなくもない。  どこからだろうと思って、見ていた月から目を落とし、音がしたと思われる田んぼの辺りを見ていた。  月の光に照らされた稲穂は小さく、まだ槍のように空に向かっていて、実るまではまだ時間がかかりそうだ。  その稲穂をピョンピョンと跳ねている何かがいる。 小人? キリギリス? いや、キリギリスにしては大きい。 「ねえ、私ちょっと怖いよ」 そう言ったのだけど、私とは正反対に興味津々のカヨは、まるで動じていない。  よく見てみると、緑色の燕尾服を着た小人だ。 なるほど。これは、遠目に見たらキリギリスに間違えるね。 と言うか、普通にバイオリン構えてるし。 いや、それよりも何?この生き物。
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