婚約破棄されましたが、夜のお散歩できるようになったので最高です

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「どう?おいしいでしょ」 「上手い!」 「疲れの取れやすくなる薬草にしたわ」 「へー」 「あとは睡眠が大事。何があったのかわからないけど、帰ったらよく寝てね」  薬草茶をすすって気持ちが落ち着いたのか、ラオハルトはゆっくりと話し始める。 「俺ってさあ、童顔なの」  急な話の展開で、思わずくすくすっと笑ってしまう。 「そうなの?」 「そうなの。フィーノは何歳に見える?」 「私より少し上っぽい感じがするから、二十二歳とか三歳とか?」 「だいたい合ってる。俺はそれよりさらに上。二十代後半なんだぜ」  驚いて飲んでいた薬草茶のカップを落としそうになる。完全に年下だと思い込んでいた。 「嘘!」 「ほんと。エナより俺の方が行き遅れなわけ」 「うふふ、よかった。何かうれしい」 「うれしかねーよ。だから最近周りから、結婚しろ結婚しろ結婚しろって呪文みたいな言葉しか聞こえない」 「それでお疲れなのね」  ラオハルトは力なく笑う。 「そういうこと」 「オーケー、わかったわ。行き遅れ同士、このまま行き遅れが続いたら、私たち二人で手を打つのはどう?ある意味の政略結婚ね」  私はにっこりと微笑む。たまにはこういう冗談も悪くないと思う。 「マジ?俺でいいの?」 「狩人の妻って憧れだったの。ずっと森の中で自給自足の生活ができるでしょう。楽しそうじゃない?」 「いいね。俺がイノシシを取ってくるわけだ」 「たまには魚も食べたいわね」 「魚釣りも得意だぜ」 「すごい!楽しみだわ」  私たちはその夜、そんな夢物語みたいな話ばかりして笑い合った。こんなに楽しい夜は久しぶりだった。時間を忘れて話していたせいで、外が明るみ出すまで気がつかず、二人して外を見て慌てて立ち上がってまた笑った。 「じゃあ帰る。またな」  ラオハルトの顔色はだいぶよくなっていたので、ほっとしながら手を振って送り出した。
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