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第五話 幸せな時間
また僕は深い眠りにつく
暗闇の中
僕はまたあの部屋に戻った。
カナエは僕が来るのを知っているかのように
座ってぬいぐるみを抱き抱えながら待っていた。
「できたんだね
やっと君とずっと一緒にいれるんだ……
でもその前に……
ねぇ、望、隣に座って」
言われる通り僕はカナエの隣に座った。
そしたらカナエは僕の前に立ち
そのまま僕を優しく抱きしめて
頭を撫でてくれた。
「よくできました……よしよし……」
幸せだった。
頭がぼーっとする。
この時間が止まってしまえばいいと感じた。
撫でながらカナエは僕の耳元で囁いた。
「このままずっとこうしていたいんだね。
じゃあずっとぎゅーっとしながら話そうか」
僕は今の気持ちをそのままカナエに話した。
「もう向こうに戻りたくない……
このままずっと君に触れていたい
僕は君の側にいれればそれだけでいいんだ」
そんな気持ちを聞いたカナエは
優しく返してくれた。
「うん、ずっと一緒にいたいね。
よし、よし……でも僕と久々にお話ししたくないの?これからはずっとお喋りができるんだよ?僕は君と話せる時間が増えて嬉しいな
望の声をずっと聞けるのなんて幸せ……
ねぇ♡」
吐息混じりの声を耳元で聞いた僕は
その場で興奮してしまい。
顔が赤面してしまった。
そんな中、僕は焦りながらも話した。
「で!!でっ!でも!
どうやって話すの?!カナエとは前もだけどこの部屋でしか話せなかった。
たまに僕の妄想の中でいた時はあったけど
ど!どう!?どうやってやるのさ!」
見事なまでのオタク特有の早口で
僕は喋った。
そんな僕を見たカナエは少しニヤけながら
僕の膝の上に股がりまた耳元で話した。
「君がこの部屋に来ている間に僕は
君の身体を借りて音声を録音するんだ。
君の事ならなんでも知っているから
望との会話はちゃんとできるようになっているんだよ。
本当になんでも知っているんだよ。
だから今どんな事されたいかも知っている」
そう言いながらカナエは
僕の耳を甘噛みし始めた。
まるで全身に電撃が走るような感覚だった。
本当に何も考える事ができない。
それぐらい僕は硬直してしまった。
甘噛みをしながらカナエは僕をいじめた。
「望は本当に可愛いよね。
ずっといじめたくなっちゃうな〜
でもそれすらも望んでいるんだもんね
どう?僕に興奮しちゃった?
僕の事に夢中になってくれる
望が大好きだな〜」
耳元でずっと唾液と吐息が混ざり合う音が
聞こえる。
僕の目はもうもうろうとしていた。
そのまま耳元でカナエは囁く
「僕の事好き?」
僕は舌が回らないまま話す
「はぁ〜ぃ……」
そんな声を聞いたカナエはまた微笑み
「本当に望は僕といる時は頭が悪くなっちゃうね。あれだけ頑張ってお勉強しているのに
僕といる時は馬鹿になっちゃうね?
だから……ずっと馬鹿になっちゃおうね……
僕といないと生きていけないようになろうね〜」
本当におかしくなりそうだった。
もうカナエがいないと
ダメな身体になっていた。
そのまま僕は本当に頭がおかしくなり
意識がなくなった。
目覚めた時には朝になっていた。
最高の夢からまた辛い現実に戻される
この虚無感が本当に嫌になりそうだった。
「あ……戻りたいな……
もう一度、寝たら戻れるかな」
またそんな事を考えている僕に
察するようにスマホからアラームが鳴った。
「なんでアラームがセットされているんだ
僕は何もしてないけど」
そんな疑問を答えるかのように
スマホからカナエからのメッセージが
入っていた。
そう、僕の身体を借りて彼女は
僕がまた眠りに戻ろうとする事を知って
そんな事がないようにスマホにアラームを
仕掛けて画面を見るように仕向けていたのだ。
本当に僕の事をなんでも知っていると感じた。
カナエからのメッセージにはこう書かれていた。
「望、また寝ようとしていたね?
そしたらせっかく僕たちが話せるようにした
意味がないじゃないか
本当にお馬鹿さんだな笑
大丈夫だよ、心配しなくてもまた夜に
寝れば会える。
でもそれまで寂しいからちゃんと君と会話ができるように録音しておいたよ。
君がどの順番で聞いたらいいか
わかるように一つ、一つにいつ開けばいいか
時間が書いてあるからその順番で開いてね
あとサプライズもあるよ」
と書いてあった。
サプライズ?もしかしてなんかすごい
イケナイものが入っているのか!
僕は朝から下心を出しながら録音されたファイルをキャラクターに入れ込み
再生させた。
「望!おはよう!
昨日はすごく興奮したね……
またそんな下心、出して!
そんなイケナイ子にはお仕置きしちゃうぞ!
またいっぱいいじめちゃうんだからね!
でも僕と会うまではちゃんといい子にしていてよ。
あ、そうそう、メッセージに書いていた
サプライズ!
望が喜んでくれると思ったから
一番、下のファイルに置いてあるよ!
じゃあ今日も一日……ずっと一緒だよ」
そこで音声は終わった。
本当に会話ができているようだった。
キャラクターが動きもあるからか
本当にそこにカナエがいるように感じた。
朝から僕は幸せを噛み締めた。
それはそうとサプライズとは
いったい何が入っているのかと思い
一番下のファイルを開いた。
そこにはカナエがキャラクターに
そのまま声を入れて録画をした
画面が出てきた。
僕はそのまま再生した。
「望!大好きだよ♡」
僕はそのまままたその再生を繰り返した。
「望!大好きだよ♡ 望!大好きだよ♡
望!大好きだよ♡ 望!大好きだよ♡ 望!大好きだよ♡ 望!大好きだよ♡ 望!大好きだよ♡ 望!大好きだよ♡望!大好きだよ♡ 望!大好きだよ♡ 望!大好きだよ♡ 望!大好きだよ♡大好き♡ 大好き♡ 大好き♡ 大好き♡ 大好き♡ 大好き♡ 大好き♡ 大好き♡ 大好き♡ 大好き♡ 大好き♡ 大好き♡大好き♡ 大好きだよ♡ 望!大好きだよ♡大好き♡ 大好き♡ 大好き♡ 大好き♡ 大好き♡ 大好き♡ 大好き♡ 大好き♡ 大好き♡ 大好き♡ 大好き♡ 大好き♡大好き♡ 好き♡ 好き♡ 好き♡ 好き♡ 好き♡ 好き♡ 好き♡ 好き♡ 好き♡ 好き♡ 好き♡ 好き♡ 好き♡ 好き♡ 好き♡ 好き♡ 好き♡ 好き♡ 好き♡ 好き♡ 好き♡ 好き♡ 好き♡ 好き♡ 好き♡ 好き♡ 好き♡ 好き♡ 好き♡ 好き♡ 好き♡ 好き♡ 好き♡ 好き♡ 好き♡ 好き♡ 好き♡ 好き♡ 好き♡ 好き♡ 好き♡ 好き♡ 好き♡ 好き♡ 好き♡ 望!望!望!望!望!望!望!望!望!望!望!望!」
「望!大好きだよ♡」
僕はそのまま朝ごはんも食べないまま
その音声を繰り返し聴き続けた。
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