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ボロ雑巾
「ねえ、あの子」
少女は笑いながら、瘦せ細った猫を抱くもう一人の少女を指差して嘲笑う。
「ボロ雑巾みたいな猫抱いちゃって! あの子にお似合いだね!」
ボロボロになった茶色の服を纏った艶の無い茶髪の少女は確実に貴族街で浮いていた。
「私、ああはなりたくないなー!」
貴族というだけで何が偉いのだろう。
笑いものにされた少女は猫を撫でながら澄んだ空を見上げる。
「私も先月までは貴女と同じことを思ってた。貴女は私みたいにならないと良いね」
香水のつんとした匂いを残して走り出す金髪の少女に、届かない程の声量でぽつりと呟いた。
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