ゴリラとダルマ

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「悪いが、兄さんが暗証番号を知っている前提で話を進めさせてもらう。このまま帰るわけにも行かないしな」 ゴリラがついに有無を言わせぬという感じになって来た。 「暗証番号を知らないなら、俺らも無駄足だが兄さんも無駄死にってこった。不運だったな」 「まずは足からだ」 ゴリラは拳銃の先を桐谷の足に向けてから、ガチャリと安全装置を外した。 本物っぽい感じの音だ。 「ちょ、ちょっとまって!答える!答えますとも」 どの道こうなる気はなんとなくしていた。 「最初からそうすれば良いんだよボケが!」 ダルマが桐谷を罵倒する。濁点の度に唾が飛んで汚い。 「正直言いますと、私はこの会社の金が盗られようがそれは全然構わんのです」 警備員にあるまじき発言だが、自分の金では無いのだし命を張るに値しない。至極当然だと、金庫破りよりもよっぽど現金な性格の桐谷は思う。 「ほぅ?」 「暗証番号を教えたら金は好きなだけ盗っていっていいんで、私の命だけ助けてください」 「口封じはどうなる?あんたの事を信用できるのか?」 「ええ、もちろん。できますとも」 桐谷はこのゴリラなら、これから自分の言う事が理解できるのだろうと思った。 聞き返される事は百も承知で、しかし聞き間違いの無いように桐谷はゆっくりと抑揚のない声で告げた。 「私に金庫の中身の3割をください」 「「はぁ〜???」」 ------ 続きは執筆中です。作者
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