吠ゆる犬は我が打つ

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 「ワォォン!!」  時計を見た。まだ10分早い。  本来であれば17時がヤツと私の争いの時間だと取り決めを交わしたにも関わらず、ヤツは私との争いを渇望しているかの如く吠える。聞けば聞くほど耳障りだ。私は黙らせてやろうと勢いよく立ち上がった。    いや落ち着け、紳士たるものここは冷静に行動しなければいけない。ヤツの挑発に乗ってどんな目にあわされたか忘れたわけではなかろう。ここは定刻までヤツのことについて分析し、輝かしい未来を手にするために対策を講じるのが懸命であろう。私はぶっきらぼうな字でと書かれたノートを有象無象で散らかった引き出しから取り出し、ヤツのことについて改めて考えた。
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