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「ここであったが100年目!今日こそてめえを叩き斬ってくれようぞ!」
玄関先の箒が目についた。私は閃いた。そして箒を手にとり、武術の達人のように振り回しヤツを威嚇した。
しかしヤツは舌を出して笑っていた。ヤツの背後には裏切り者田辺が仕立てたであろう犬小屋が、首元には信者たちが買ったであろう首輪がついており、『タロウ』という手作りの値札がぶら下がっていた。まるで私との財力の差を見せびらかすようだ。実に腹立たしい。私は攻勢に出た。
「覚悟ぉぉ!!キエェェェェーイ!!!」
私は目をつぶりながら箒を大きく振りかぶってヤツの脳天に振り落とした。
『バキッ』
手応えはあった。しかし音がヤツを討ち取ったそれではない。目を開けて確認してみるとヤツの犬小屋が真っ二つになっていた。
驚いた。自分にはこんな力が眠っていたとは!今までなぜこの戦法を使わなかったのだろうか?頭の中はすでに自分自身に酔っていた。
「ワンッ!!」
背後からヤツの声がした。しまった、この私が背後を取られたというのか…?と考えている内に膝裏にドンッという鈍い音とともに衝撃が走った。
「うがぁっ」
急な不意打ちにスティックパンで7割が構成されている私の体では耐えることができず、膝から崩れ落ちた。勝敗は呆気なくついた。私の完敗だ。
そこからは諸君らにも想像できるであろう。私はヤツにおもちゃ同然の扱いをされた。ヤツは私を唾液でコーティングするかの如く全身を舐め回してきた。そこで私は気を失った。
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