1.弟くんに愛されました

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ドア越しに聞こえるのは自分の名前の響きの中に一文字だって入っていない2つの音。 トントン また聞こえてきるノック音。 「あけろ」 それでもヤツは20年以上も私をそう呼ぶ。 めんどくさい。 ガチャリ 「もう寝てたんだけど」 唇を思い切り噛んだ後にドアノブを回せば 「なわけ、チェーン外せよ」 ガッ 閉められまいとごっつい手がドアを掴んだのが見えた。 チッ やってられない。 「……一回閉めるから」 「はぁ?」 今すぐ追払いたいけれど彼は一度言い出したら聞かない性格。 舌打ちをしてつっけんどんに答えれば殺意がこもっていてもおかしくないほど鋭い瞳がドアの隙間から覗いた。 「チェーン外す。」 野蛮人め。 ドアを押さえつけられている手を見れば自然とため息が出てきた。 クールなところがかっこいい。 切れ長の目に通った鼻筋、黒曜石みたいな瞳に高身長で細身の体。 それを見て女はきゃあきゃあと声を上げるけれど、 「嘘つくなよ?」 「つきません。」 「これで締め出されてもチャイム押しまくるからな?」 「はいはい」 私からしたらガワだけ上等な野蛮人だ。 仕方なくドアを閉めた後ご要望通りにチェーンを外す。 がちゃり 「ちょっとまっー」 「おじゃましまーす。」 「…ん!」
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