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本人もまんざらでは無さそうにデレデレと笑っていて、そりゃ見ていられなくて。
選り好みしなければ一晩で何発できることか。
「残念、兄貴の結婚式でお持ち帰りなんて無作法なことはしないんだよねぇ」
「あっそう」
白々しい返事。
ソファに勢いよく腰掛ければ薄く整った唇がにっとつり上がる。
「俺のことなんだと思ってんの」
「来るもの拒まず去るもの追わずのヤリチン野郎」
「はは、そりゃ光栄だ」
ワインにビール、ジュースにお菓子、ピザにポテト、パンケーキ。
袋のなかのものを全部開けてしまってから彼は器用にビニール袋を畳む。
「なに飲む?」
「いらない」
ソファにあぐらをかいて肘をつけばまたため息が出て来た。
これがヤツのできる精一杯の慰めかと思ったらとんでもなくムカついた。
「いいじゃない、部屋に連れ込んでも誰も何も言いやしない」
「こっちにも優先順位ってものがあるの。」
優先順位
「あんた、兄貴の尻拭いなんてする性格じゃないでしょ」
「それとこれは別」
どれとどれだ。
でも尻拭いということは否定しないらしい。
「…っ!」
眉を思いっきり顰めたところで押し付けられるのはひんやりした缶ビール。
その後にソファが弾む。
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