【かぐや姫】

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僕は少し考えて秋葉原へ向かう事にした。 十二単衣の彼女は走る事が困難のようだったので、僕は彼女を背中に乗せてジロジロと見てくる群衆の視線を振り切るかの如く秋葉原へと走った。 僕が思った通り、秋葉原にはコスプレ姿の派手な衣装を着た人達がチラホラと出没していた。 これなら僕達もコスプレの一環として、それほどの騒ぎにはならないだろう。 僕は彼女を背中から下ろすと滴る汗を手で拭った。 我の為に申し訳ござらぬと彼女は僕に向かい頭を下げた。 あのさ。自分の事を我って言うのやめない?そうだ!君の名は輝夜(かぐや)にしよう。僕は、そうだな?咲夜(さくや)でどうだろうか? その提案に彼女……輝夜は、おおいに満足して嬉しそうに笑った。 とにかく何処かで服を調達しないと、と僕は輝夜の手を引き秋葉原で何とか、そんなに目立ちそうもない服屋を見つけ、その店に入った。
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