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それから私は教室でも鷹也に普通に声をかけるようになった。
「次の体育、男子は今何やってるの?」
「お腹減ったなー。あと一時間もたないや。一本満足バー半分こしない?」
なんて、たわいもないことを。
最初は驚いていたようだった。
でも、一言二言はなんとか返してくれる律儀なところがあるのだ。
何度も話しかけていると、いつの間にか会話のキャッチボールができるようになっていた。
「俺、甘いの嫌いなんだけど」って言いながら、一本満足バーも半分こしてくれるし。
懐かない猫が私の手からはチュールを食べてくれたみたいな、そんな嬉しさがあった。
男子女子にかかわらず友達が多かった私は、それまであまり男性を意識したことがなかった。
もちろん誰かと付き合ったこともなかったし、好意をもった男子もいなかった。
でも鷹也だけは違う。鷹也が耳を赤くしながらぶっきらぼうな物言いをしたり、私にだけ笑いかけたり、ちょこっと俺様な態度をとったりすると、キュンとするのだ。
私はいつの間にか鷹也に恋をしていた。そんな気持ちは生まれて初めてだった。
鷹也も同じ気持ちだとわかったのは高校一年の夏祭の日。
初めて二人で出かけた夏祭の縁日で告白された。
嬉しかった。鷹也から告白してくれるなんて思ってもみなかったから。
そこから私たちはお付き合いを始めたのだ。
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