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父が心配して、悠太だけで十分だ! って言ってたのを覚えている。
父にとっては悠太だけじゃなく、私のこともガッツリ育てたわけだから、本当に十分だったのだろう。
私は知美さんの気持ちもちょっとわかる気がする。知美さん、まだまだ若いからね。
「でも孫って……知美さんから見たら甥か姪くらいの感じじゃない?」
「甥っ子でも姪っ子でもどんとこいよ! あなた、楽しみね~!」
父が頭を抱えていた。
どちらかというと気弱な父に、よくこんな底なしに明るい若い嫁が来たものだ。
知美さんのこの陽気さはいつも私を救ってくれた。お母さんというには失礼な年齢差だけれど、大好きな義母なのだ。
こうして私は両親と祖母の協力の下、シングルマザーとしてひなを産んだ。
国立大学の工学部建築学科を卒業した私は、大手住宅メーカーに就職した。
ひなを産む直前まで、施工管理者として現場監督もしていた。
正直なところ前代未聞だった。旧態依然とした住宅メーカーで、未婚で子供ができた上に現場監督を続けるなんて。
でも渋い顔をしていた会社側とは違い、現場の職人さん達は全く違う反応だった。
みんな超ビッグサイズの愛妻弁当を美味しそうに食べるお父さんばかりで、妊婦である私をとても気遣ってくれた。
9ヶ月で産休に入るまで、現場に居続けられたのは周りに支えられたからだ。
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