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気付けば、また僕は何もないところを、見つめていた。日常に忘れ去られたみたいな、隙間の奥の瞳と目が合う。
一体何に、僕は見とれてしまっているのか。あそこに何がいるというのか。
分からない。いや上手く表現できない。言葉や文字では、不足している。
できるなら、形ある色づいたものとして....空っぽの空欄に埋めたい。
或いは、取り憑かれてしまいたい。夜の幽霊のように。
そしたら、僕は全て分かるだろう。
寝ぼけたうす暗い空の下、そんな純粋な思いを馳せる。
無。あの子にはきっと、そんな名前がぴったりだと思うのだ。
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*ちなみに、フランス語で「虚空、無」を『rien』といいます。
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