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ベランダのサンダルを履いて一緒に洗濯物に取り掛かる。と言ってもほぼ干し終わっていて、ネットに入った私の下着とバスタオルだけだった。
「身体、大丈夫かよ?」
耳元で意地悪そうな声でそう言われた。なんでこんなに意識してしまうのよ……。
「………っっ平気。それに下着洗わなくていいってば!!」
私は慌ててしゃがみ込み、ネットをかかえ込む。
「いいだろ、別に。一緒に住んでるんだから」
その言葉で、私はドキンと胸が高鳴った。言わなくちゃ……ちゃんと言わなくちゃ………。
「……いや、いいよ。あんたみたいなやつがこんなの干してる絵面考えてよ………」
「全部、俺がプレゼントしてやつだけど」
「プレゼントと洗濯一緒にしないで」
和泉はバスタオルを干しながら、くすっと笑っていた。
あぁ、どうしよう。
この笑顔は、大学生の頃から好きだった。口角が上がって、俯きがちのその笑顔を、私は可愛いと思ってしまう。
胸が苦しくなって、心のなかで自分を抑える。まだ踏みとどまれる……。
洗濯物を干し終わり、二人で室内に入る。和泉が洗濯かごを戻している間に、私はお茶を入れていた。和泉が戻ってきたタイミングでマグカップをダイニングテーブルにおいた。和泉はダイニングの椅子に座って、お茶を飲んでいる。
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