ルール違反なお願い

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 これ以上一緒にいて、戻れないくらい好きになるのは怖いの………。タイミングは、今しかない。  和泉は冷たくて儚げな表情をしていた。 「………セフレも、同居もおしまいにする。二年早くなっただけで、もともと終わらせる関係なんだもん……」   ちゃんと言えた。言えたのに泣きたくなってきた。半分は嘘で半分は本音。セフレも同居も、終わらせなくちゃと思ってたのは本当だけど、続けられるなら今だって続けたい。  でもそのためには、この灯ってしまった気持ちが邪魔をしてくる。 「_______そうだな。お前はずっと俺のこと好きじゃないくせに一緒にいて、体の関係をただ惰性で続けてただけだもんな」  和泉は私の顔を無表情でじっと見つめていた。  言い方に棘があって、ぐさりと心を刺される感覚に陥る。でも、それをちゃんと聞き入れなくてはいけない。  いじわるでも、その中にある優しさが、本当に弱ってるときに隣りにいてくれる安心感が、私を孤独から救ってくれた。  でも、それにすがれたのは、和泉を好きじゃなかったから。 今は無理。 和泉の行動全部が、好きでたまらなくなる。  私は視線を落として、和泉から投げかけられるかもしれない罵声に構えていた。でも、返ってきた言葉は事務的なものだった。 「好きなやつできたら出ていくって話してたもんな。それで、いつ出ていくんだよ?」 「3月中旬には引っ越そうかなって」 「わかった」    無表情でそういって、マグカップのお茶を飲み干していた。  和泉は、好きな人が誰なのか、詮索してこなかった。私が泣きたくなるのはお門違いなのに、泣きそうで立ち上がって部屋に戻り、声を上げないように泣いた。
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