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●義姉の結婚式
2月中旬、紅葉の結婚式が執り行われる日になった。
先週、久しぶりに美容院で髪を切って、さっぱりした髪の毛にしてもらった。短いと、ドライヤーで乾かす時間が短いからいい。
朝目覚めて、日課のランニングをしてから、ソファで寛いでいると、朝比奈が目を擦りながら起きてきた。
「おはよ」
俺は立ち上がり、キッチンで用意していた2人分のコーヒーをマグカップに注ぎ、朝比奈に渡した。
今日の結婚式は朝比奈も参加する。
今日まで朝比奈は俺のことをずっと心配してくれていたようで、何回も「辞めていいんじゃないか」、「無理しないでいいんじゃないか」と言ってくれていた。
でも、もう出欠の葉書をポストに投函した瞬間から、出席する覚悟は決めていた。紅葉は昔からずっと、俺のことを実の弟としてちゃんと見てくれて、会って説得するくらい熱意があるんだから、もう行くしかないだろう。
コーヒーを飲みながら、朝比奈に視線を落とすと、マグカップを両手で持ってフーフーと息を吹きかけていた。
「お前、幼馴染と行くのか?」
「ううん。純は親族挨拶があるから早く行くの」
「……あぁ………、俺もだった」
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