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「……私にはもう誠しかいないの……。付き合ってた人とうまくいかなくなっちゃって…………、職場にも家にもこれが届いて……、職場は辞めさせられちゃって、家にもいられなくなっちゃったの……」
お母さんが差し出してきた封筒は、法律事務所からの通知だった。中身を見ていいと言われたので、確認すると、不貞行為の内容証明書だった。
お母さんは今までだって、散々不倫なんてしてきた。お父さんも同じような感じだったから、お互いに公認だったし。こんな要求されたこと一回もなくて、バレなきゃいいって続けてきたつけが、今回ってきたんじゃない……。こんなの自業自得よ。
「………助けてほしいってこと……?」
「そう、流石誠!よくわかってるわね。誠は昔からママのこと好きってよく言ってくれたじゃない。
私がどんなに傷つけても、誠は家に帰ってきたら喜んでくれてたし、文句なんて一回もいったことないでしょ?散々傷つけてきて……それは悪いと思ってる。
これからは一緒に暮らそう?もう誠のこと大切にしてあげるから、だから助けてほしいのよ」
お母さんの言う事は、昔から全部聞いてきた。
叩かれたり、罵声を浴びせられたりすることへの恐怖に支配されて、従ってきた。だから、言うことを聞かなければ、という意識が骨の髄まで染み込んでる。
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