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挨拶
旅館で朝食を食べ終えて、部屋に戻り身支度をし始める。ニットにGパンを着てから洗面所でメイクをする。
昨日のセックスは、いつも以上に激しかった。ずっしり腰にくる鈍い感覚に悩まされながら、メイクを続けていた。歯磨きをするためにやってきた千明は、そんな私のことを訝しげにみてきた。
「身体大丈夫か?」
鏡越しに視線があうと、昨日のことを思い出して恥ずかしさがこみ上げる。散々体を重ねてきたくせに、今更恥ずかしいも何も無いはずなのに……。
「あ……うん。平気」
「無理させたな」
歯磨き粉を取る前に、和泉はマスカラを塗り終えた私の頭をぽんと撫でてきた。こんなことされたの初めてで驚く。それは一瞬の出来事で、すぐ歯ブラシを手にとって磨き始めていた。
メイクを終えて、キャリーバックに全ての荷物を詰めこんだ。今日はお墓参りしたらすぐに東京に戻る予定になっている。千明の仕度が終わり、一緒に部屋から出ると、チェックアウトをすませて、車に乗り込んだ。
これからお墓参りなのに、とても緊張して、ソワソワしてきた。シートベルトをしめてから、鞄のポーチに入っていた手鏡を出してメイクを確認する。
「なに緊張してるんだよ?」
千明がシートベルトを締める前に、不思議そう二尋ねてきた。
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