二人で決める道

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二人で決める道

 五島から戻り、残りのGWの間、千明はオンコールの対応が一日あっただけで、二人でゆっくり過ごした。  一緒に出かけることなんてほぼなかったけれど、散歩やウィンドウショッピングでデートみたいなことをしてみた。  歩くときは手を繋いで、話すときは名前を呼ぶ。ぎこちないけど、名前を呼び合うことが普通になっていく感覚がくすぐったい。  言動は相変わらずいじわる。でも、ふと大切なものを扱うように触れたり、不意にキスをされると、自分が思っているよりも、千明は私のことを好きなのだと感じられた。  一日だけ、純と会う日を設けた。記憶が戻ったことを電話で告げるとすぐ、「会いたい」と言われ、GWの最後の日に、いつも落ち合うカフェで会うことになった。私が純の手に触れた瞬間に、思い切り抱きつかれて、「もう忘れないでね」と泣きながら言われた。 「千明と恋人になったよ」 「おめでとう!とっても嬉しいなぁ。また会わせてよ。ちゃんと挨拶しなくちゃ。それで、大事な誠ちゃんは渡しませんってやつ、やりたいから」 「それ、親子でやるやつじゃん」 「いいの!私の大切で、大事な親友が取られちゃうんだよ?ちゃんとその辺、和泉さんと話し合わないと」 そう息巻いている純は、楽しそうなのに、どこか淋しそうにも見えた。
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