二人で決める道

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 その日のうちに、千明に話をすると「お手柔らかに、と伝えておけ」という返事が返ってきた。  二人を会わせて、私達は一体何を話すのか、そんな疑問が浮かんできたけれど、きっと純がどうにかしてくれるだろう。  そして、GWがあけてすぐ、職場に復帰した。記憶を取り戻したおかげで、短時間での働きは、二週間ほどで終わり、その後は、前と変わらずフルタイムで働くようになった。  ただ、千明に口酸っぱく小言を言われて、自転車通勤は止められている。そして、根詰めすぎないことと、無理して働かないことを約束し日々働いている。 「誠、復帰おめでとう!おかえり」  職場復帰後、一ヶ月を過ぎてしまったが、拓海が快気祝いを用意してくれて、二人で昼食を共にした。  お祝いの品に、私が前から気になっていたお菓子を用意してくれていた。拓海に、千明と交際することになったことを伝えると、満面の笑みを浮かべて「知ってる、嬉しいなぁ。おめでとう!」と言ってくれた。  そういうところが本当に爽やか優等生。 「記憶失くした誠は、だいぶ千明のこと惑わせてたみたいだね」  お昼を食べながら、誂うような表情でそう言われた。 「……その話やめてよ、恥ずかしい。記憶ないってまじ怖いね。何しでかすかわかんない」
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