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思い出すだけで、顔が真っ赤に火照り上がりそうになる。記憶なかったときの記憶を消したい。頬を抑えながら、持ってきたお弁当に口をつけた。
「いいじゃん。まさか六年も前から同棲してるとは思わなかったけどね」
「同棲じゃない、ルームシェア!」
「いや、結果的には同棲だろ?いいじゃん。千明、誠の記憶がない二ヶ月の間、毎日溜息ついてたよ。
あいつ、戸惑ったり動揺することあると、そうなるらしい。長い付き合いで、初めて知った。新発見。
あと、千明は自分の気持ちを絶対言わないと思ってたから、俺は嬉しくて仕方ないよ」
にっこり笑う拓海は、とても嬉しそうだった。きっと拓海も、いろんなことを知ってたのかな。
「え、拓海は千明の気持ち知ってたの?」
「うん、知ってる。教えてもらったわけじゃないけど、否定しないのが千明の肯定のサインだから。好きな子にだけ、意地悪したくなるやつなんだなって、不器用なやつだなって思ってみてたよ。
千明がいろいろあって、ずっと自分の気持ち押し殺してるのは知ってるつもりだったから。ちゃんと伝えられたこともうれしいし、成就したことも嬉しい」
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