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俺がいつもと違うのを不思議に思ったんだろう、変な目で見ているので、安心させるように背中を叩いた。
「そのうち、一度あちらの会社の担当者達と食事しようか」
そう言うと、本郷は嬉しそうにうなずいた。
「それはいいですね。是非お願いします」
本郷の肩を叩いて笑顔を作り、外へ出した。
俺は部屋へ戻ると、香那の事が心配でならなかった。
ふたりの共通項について聞いていなかったが、失敗だったかもしれない。
うかつな自分に驚いた。
さっそく椎名不動産の担当者との飲み会を考えたが、接待にするべきなのか悩んだ。
父に聞いたところ、笑われた。
「別にうちが接待してやってもいいが、由奈が何と言うかな?あっちから持ちかけた話だから、本当ならあちら持ちだろう」
「母さんに言っておきます?」
「いいや、お前が計画したんだったら、こちら持ちだな。打ち上げはあちらにやらせたらどうだ?」
「……なるほど。そうします」
「うまくいってるらしいな。由奈からはそう聞いている。お前全然報告してこないだろ」
「すみません。まだ、報告する段階ではないかと思っていました」
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