香那の夢

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 「香那。お前この間の小さな子供のいるファミリー向けの案、以前俺に話したことがあっただろ……お前から来た案を見たとき驚いたよ。コマーシャルもお前の案だったんだとすぐにわかった」  「……覚えてたんですね」  「キッチンの壁にフライパンを大中小とぶら下げている……小さいときから子供も使えるように小さいフライパンから並べて、子供と並んで料理するのが夢って言ってたよな」  「それを聞いてあなたはなんて言ったか覚えてる?」  「……」  「香那、俺は……」  「ごめんなさい、そんなつもりじゃない。言い方が悪くてごめんなさい」  この話は彼との未来を考えるのが難しいと結論を出した理由のひとつ。  彼は子供が苦手というか、嫌いだと公言していた。外で一緒にいても、店で少しはしゃいでいる子供を迷惑だと言ってみたり、睨み付けたり……確かに冷たいなと思ってはいた。  ある日、キッチンの話になってさっきの夢を話したとき、彼は自分の子供も持ちたいかどうかさえ、まだわからないからお前の夢は結婚しても実現できるかわかんないなって真顔で返された。    そう、それが彼の答え。
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