香那の夢

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 私は小さい頃から絵を描いたり、おままごとしたりが大好きで、専業主婦だった母にくっついて料理も覚えた。  兄弟がいなかったのもあって、母親と自分が並んで料理が出来るくらいの本当は大きな台所がいいなあと思っていた。  実家は狭くてガス台にはひとりしか入れなかった。  私は子供も出来れば最低ふたりは欲しいとか結構自分の夢がはっきりしている。    私と子供ふたりが大中小のフライパンを持って並んで料理する。それを旦那さんが嬉しそうに目の前で見ている。  そんな家庭が欲しい。  史人には結局フラれたけど、実際私の気持ちも彼のあの返事がきっかけで離れてしまい、ギクシャクし出した。  最初にパンフレットを作ったときに、本部長が私のその風景を書いた文章を褒めてくれた。そして、自分もそういう家庭がいいなと何気なく話してくれたのが嬉しかった。別に彼とどうこうなるとか考えたわけではなかったけど、そう思ってくれる人が男性にもいて嬉しかった。  仕事の打ち合わせが終わったとき、史人から聞かれた。
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