香那の夢

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 「香那、あの日あれから大丈夫だったのか?椎名さんの件……今度またふたりで飲みに行こう。見せたいインテリアの店もある」  あのときタクシーに女性と乗り込む彼を一緒に見てから、どうやら私のことを彼が大切にしていないと思ったのか、勘違いさせたのかもしれない。私があの話をするのもどうかと思うので、あれ以降あのことは何も話していないのだ。  そういえば、本郷さんから椎名不動産の担当者さん達と明後日飲み会がありますと言われた。  「会社同士の飲み会があさってあるそうですよ。お疲れ様です」  他人事のように返事をして別れた。  当日はモデルルームでのすりあわせがあるので準備もあり翌日から忙しくなった。  飲み会の前日。ようやく仕事を終えて家に戻ると、いったん着替えて彼の部屋へ行った。  最近は食事を作るのは彼の部屋で、彼が帰りの遅いときに帰ってから食べられるようにして作りおきしている。  そうじゃないと外で食べてきてしまうので、なるべく家で食べた方が身体にもいいからわざと作っておくのだ。  私は自分で言うのもなんだけど、料理が得意なので喜んでもらえているようだ。
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