4876人が本棚に入れています
本棚に追加
玄関が開いた音がした。パタパタとスリッパの音を立てて、彼を迎えに行く。
「お帰りなさい」
「ただいま。いい匂いだな」
「うん。丁度いいときに帰ってきましたね。一緒に食べましょう」
そう言って、白菜と豚肉の鍋やわかめとキュウリの和え物、お刺身などを並べた。
「香那」
「はあい?」
「今日は泊まっていけ」
「嫌です」
「は?」
「明日、例の飲み会だし、帰り遅くなるから今日は早く寝たいの。寝ておかないと私酔うから……」
英嗣さんはあっけにとられた顔をしてこちらを見ている。向かい合って座って、食べ始めた。
「美味しいー!この豚肉、脂が少ない割に柔らかくて美味しいです」
ん?なんで何も食べないの?じっとこちらを見ている。
「どうしたの?具合悪いんですか?」
「……香那。お前、あいつと二人三脚で仕事しているらしいな。どうして俺に言わないんだ?」
ゴックン。わかめをかまずに飲んじゃったよ。ゴホゴホ。水を飲んで彼を見て言う。
「だって、知ってるかと思ったの。担当役員だし……」
最初のコメントを投稿しよう!