香那の夢

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 玄関が開いた音がした。パタパタとスリッパの音を立てて、彼を迎えに行く。  「お帰りなさい」  「ただいま。いい匂いだな」  「うん。丁度いいときに帰ってきましたね。一緒に食べましょう」  そう言って、白菜と豚肉の鍋やわかめとキュウリの和え物、お刺身などを並べた。  「香那」  「はあい?」  「今日は泊まっていけ」  「嫌です」  「は?」  「明日、例の飲み会だし、帰り遅くなるから今日は早く寝たいの。寝ておかないと私酔うから……」  英嗣さんはあっけにとられた顔をしてこちらを見ている。向かい合って座って、食べ始めた。  「美味しいー!この豚肉、脂が少ない割に柔らかくて美味しいです」  ん?なんで何も食べないの?じっとこちらを見ている。  「どうしたの?具合悪いんですか?」  「……香那。お前、あいつと二人三脚で仕事しているらしいな。どうして俺に言わないんだ?」  ゴックン。わかめをかまずに飲んじゃったよ。ゴホゴホ。水を飲んで彼を見て言う。  「だって、知ってるかと思ったの。担当役員だし……」
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