香那の夢

9/11
前へ
/198ページ
次へ
 「……許さない。全部英嗣さんのせいだから」  「そうだな、俺のせいだ。でも俺は大満足だ。ごちそうさま」  そう言って、嬉しそうに笑いながら先に出ていった。信じらんない。  今日はモデルルームが出来てきたので、実際に行って、商品を納品して部屋を作っていく。  四人総出で荷物を持って、車に乗り込みマンションへ向かった。  ファミリータイプ、新婚タイプ、子供の巣立った熟年タイプなど三部屋を作っていく。  部屋へ入ると内装も色も統一されていて、とてもよかった。  キッチンもそれぞれ特徴がある。  持ってきた調理器具は部屋と同じ色合いになっていて、年代別に考えられた種類を置いていく。  わくわくして、楽しい。やりたい仕事が出来るってこんなに楽しいんだと実感した。  手分けしてそれぞれやっていくが、皆のキッチンへの思いが聞けてとてもためになるし、それぞれみんな考え方があるんだなと思う。結婚後のことってその時に決めればいいんだろうけれど、夢ぐらいあってもいいよね。  ファミリータイプのところをひとりでセッティングしていたら、椎名社長が現れた。  「水川さん、お疲れ様」
/198ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4876人が本棚に入れています
本棚に追加