英嗣の決意

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 「彼女の過去も気になるのかもしれないと思って、偶然内覧担当であなたたちと出会ったことやできれば提携プロジェクトの担当になったほうが彼女の意図をうまくくみ上げてやれることも話しました」  「……やるな、君」  「嬉しいな。あなたに評価されるとは……」  「しかし、母も人が悪い。息子を何だと思ってる」  「確かにね。でもあなたから香那を奪えるとは思えないと言ってました」  「……!」  「信じているんですね。本当に。公私共に息子を信じてるんですよ」  「ありがとう。君のお陰で俺は進む道を決めたよ」  「へえ?聞いていいですか?」  「いや。実現できるかはわからないので、楽しみに見ていてくれ」  「はー、言いますね。俺も負けませんよ。この会社でそこそこまで行きますから、楽しみに見ていて下さい」  お互いにまた乾杯した。  提携から一ヶ月経過した。  モデルルームはコマーシャルも入れて周知され、大盛況。  大勢のお客様が見に来て、同じ部屋を注文する。  新しく建設予定のマンションにも同じ部屋を入れて、販売したところ売れたそうだ。
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