英嗣の決意

5/10
前へ
/198ページ
次へ
 母の先見性は証明された。我が親ながら、鼻が高い。  HARUNAで椎名不動産シリーズとして売り出したフライパンなど調理器具はこれまた売れた。  香那の社長賞をおかしいと言ってきた重鎮達は、彼女の力を今回でまざまざと見せつけられ、口をつぐんだ。  営業第三部はそのまま存続し、椎名不動産との新たな提携を模索している。    夜に両親と久しぶりに三人で会った。  ふたつの会社を提携企業として今後やっていく方向で話し合った。  もちろん、両社の役員会や株主総会で認められないと難しいだろうが、俺がふたりの息子であることを公表してもいいと決意をふたりに伝えた。  「英嗣。ありがとう。お前の覚悟を形に出来るよう俺も社長として反対派を何とかしよう」  「反対派はあなたのもうひとつの親族よ。覚悟はあるの?あなたの跡継ぎと言われている息子さんは悪い子ではないんでしょ?」  「……わかっている。あいつをひとり暮らしさせようと思う。地方へ一度飛ばす。英嗣もそうした。どのくらい出来るか見るには必要な措置だ」  「……それは、いいかもしれないわね。その間にお掃除したら?」
/198ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4875人が本棚に入れています
本棚に追加