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『いい匂いがしてきたぞ。お腹がすいてきたよ』
私が大きな声で三人分言う。
『『『出来た!パパ誕生日おめでとう!』』』
彼が言った。
『ありがとう。最高の誕生日だ。さあ、食べてみよう。お味はどうかな?うん、すごく美味しいぞ、このソーセージはよく焼けてるし、卵焼きもふわふわだ。そしてこのチキンライス。俺の大好きな変わらない味だ』
私は彼の顔を見て、あふれる想いで胸がいっぱいになった。両手で顔を覆ってしまった。
「香那」
彼が呼んだ。両手を取って目の前を見ると、彼がいた。そして、片膝をついた。
手の上には濃紺のビロードの箱。蓋を開けて私に向けた。
「水川香那さん。俺と結婚して下さい」
私の目を見てはっきりと言った。
私は震える声で答えた。
「はい。あなたのお嫁さんにして下さい。そして、この夢を叶えてくれる?」
彼は私の左手の薬指に大きなダイヤのついたリングを入れると、そっと抱き寄せた。
「ああ。やんちゃな男の子と可愛い女の子を作ろうな。そして、いつか三人で俺のためにオムライスを作ってくれよ」
彼の腕の中でうなずいた。
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