エピローグ

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 翌日。会社の昼休みに社長室へ英嗣さんと行った。  彼は私との結婚を決めたことをご両親に電話で連絡し、会える日時を調整していた。何しろ、両親ともに忙しい。  お父様のほうは後妻がいる家に彼を招く前に会社で会う方がいいだろうと言ったそうだ。    「父さん。改めて報告します。結婚することになった水川香那さんです」    「水川香那です。どうぞよろしくお願いします」  社長はにこにこして私を見た。  「頭を上げて下さい。水川さん、英嗣と結婚を決めてくれてありがとう。よかったな、英嗣。やっとお前も結婚してくれて俺は安心だ」  「父さん。だから、俺は自分で相手は選んで来て必ず結婚するって言っただろ?まあ、待たせて悪かったよ」  私はふたりを見て笑ってしまった。  「何だよ、香那?」  「いいえ。きっと、よりどりみどりだったのに、結局私になってすみません、社長」  「いや、何言ってるんだい、水川さん。英嗣はどうにもこうにも仕事は出来るが恋愛は下手なようでね。気を揉んで疲れたよ。こちらから紹介する方法もあったが、まあそういうのは俺もあまり好きじゃないんでね」  「だから、自分で……」
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