エピローグ

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 「香那、忙しいところ悪いな。紹介する。俺の義理の弟だ」  どうりで似ているはず。  「初めまして。春田善嗣です」  「こちらこそ、初めまして。水川香那です」  「お目にかかれて嬉しいです。水川さんは義兄さんの大切な人というだけでなく、社長賞を二年目で獲って、多くの業績を残されているスーパーウーマンですから……」  「……いや、そんな。やめてください」  そう言うと、目の前で頭を下げられた。  「え?」  「以前、母が水川さんを叩いたそうで。本当に申し訳ございません」  私は驚いて英嗣さんを見た。  「隠すのをやめたんだ。すべて弟へ話すことにした。そのほうがお互いのためだ」  私は弟さんに言った。  「そのときは、私が間に入っただけです。本当なら、英嗣さんが二回叩かれるはずでした」  弟さんは悲しそうにしている。  「父さんがはっきりしてくれたので、僕も大阪へ行く前にきちんと母達には釘を刺しておきます。何かあればすぐに連絡してください。僕の方で対応しますから……」  「お前は何も心配するな。大人の事情だ。お前のお母さんは別な意味で俺に当たっているのもある」
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