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「わかってます。母さんは父さんがまだ義兄さんのお母さんのことを好きなのを知っているんですよ」
「それは俺たちには関係ないことだよな。だから、お前の両親にふたりで解決してもらわないといけないんだ」
そう、その通り。私もそう思う。
「大阪でも頑張って下さいね」
「はい」
そう言うと、弟さんは彼に目配せをして出て行った。入れ違いに入ってきた人を見て驚いた。
「香那、篠田課長だ。篠田、俺の婚約者になった水川だ。知っているだろ?社長賞獲った……」
篠田課長は固まっている。そして、苦笑いをして英嗣さんを見た。
「そう。そういうことね……おめでとうございます」
低い声でそう言うと、睨むように私を見てくるりときびすを返して出て行った。
何だったの?私こんな人に嫉妬してたの?なんか、がっかり。
彼は私の顔を見て笑った。
「ほらな。だから言っただろ。相手にもならない。昔はあそこまでじゃなかったんだがな」
そういう彼を見て、私は腕をつねった。
「痛い、何するんだよ」
「反省して下さい。二度とこういうことのないように……」
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