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「え?まさか、先輩を本社へ戻すと言ってた話?冗談じゃないんですか?」
この間、本部長と先輩の旦那さんが喧嘩してた。たぶんその件だ。
「……そうなんだよね。あれでいて、大和は結構仕事が出来るのよ。偉くなってしまったしね、私より……悔しいわ」
思わず笑ってしまう。いやいや、笑っている場合じゃないぞ。本社に先輩を取られるなんて絶対嫌。
「わかりました。私、頑張って先輩を取り戻せるように偉くなります」
紗良先輩が笑い出した。
「香那ちゃんたら……。本部長も香那ちゃんの天然には敵わないだろうから安心だわ。それに橋本君はいっつも香那ちゃんのこと心配してるから、私がいなくてもきっと助けてくれるわ」
「……天然じゃありません」
「いいのいいの。とにかく、明日の昼は持ってこないでいいからね。お弁当が出るはずだから。じゃ、書類つくりましょうかね」
そう言って、よっこいしょと立ち上がる紗良先輩を支えて上げる。嬉しそうにこちらを見てる。可愛いな、先輩。しょうがないや、先輩から頼まれたら嫌って言えないんだよね。ああ、でも。また大変になる。そうに違いない。
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