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 あの日から一週間。月を見るのが日課になっていた。姫は元気かな、次はいつ下界に降りてくるんだろうーー失恋の痛みなんかより、彼女に会いたい気持ちの方が勝る。  そういえば、次に会ったら温泉に行こうって言ってたよなーー会えるかわからないけど、いつか会えた時のために情報収集でもしておこうかな。  食堂でスパゲッティを頬張りながら、そんな希望を持つだけでワクワクした。  そんな時、食堂に仲良さそうに入ってくるあの二人が目に入る。一週間は悲しくて涙をポロポロ流していたのに、今は二人を見てもなんとも思わない。  たった数時間過ごしただけの姫との出会いが、こんなにも気持ちを変えてくれたんだ。本当にすごい。 「おーい、鷹取。何ニヤニヤしてんだ?」  友達に聞かれたけど、姫とのことを打ち明ける気にはなれなかった。どうせ夢だったとか言うに決まってる。それなら大切な記憶として、自分の胸にしまっておきたかった。 「なぁなぁ、そういえばあの二人って付き合い始めたんだろ?」 「ん? あぁ、そうみたいだね」  すると友人は俺の方をグイッと引き寄せ、慰めるような声色になる。 「そんな傷付いている鷹取に朗報だ! なんと本日合コンが開催されることになった!」 「……それって俺も参加?」 「もちろん。お前のバイトがないのは確認済み」 「でも……」 「行くよな?」  今月ちょっと厳しいんだけどなぁ……とは言えず、苦笑いをしながらもとりあえず頷いた。
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