六月の悪魔

プロローグ

高校生活の楽しい思い出になると誰もが思っていた。誰が恐怖を刻みつける行事になるなどと、予想しただろうか。
　六月には悪魔が現れて悪さをする。星宮高校に伝わる七不思議が脳裏を過り、篝はゾッとした。
　クラスで少しずつ育まれた歪みが具現化して、狂気を産みだしてしまったのか。それとも、もっと別の悪意なのか。
　闇が追いかけてきている。もう、逃げられないかもしれない。
　冷たい雨に打たれながら、篝は絶望に震えた。